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山崎寛子パーソナル・インタビュー【第4回】キャラソンへの向き合い方・作家10年目を迎えた今の率直な想い

全4回に分けて掲載中の、弊社所属の山崎寛子へのパーソナル・インタビュー。そのラストとなる今回は、キャラクターソング制作にまつわる話題からスタート。さらに彼女が作家として、今挑戦したいと思っていることを、インタビューの最後に率直に語ってくれました。

――第4回は、キャラクターソングについてからお聞かせください。キャラクターにあてて曲を書くことは、人にあてるのともまた違うと思うのですが、初めてのときはどんな感覚だったのでしょう?

山崎 初期に書いたキャラソンは『みなみけ』のキャラソンアルバム『みなみけのみなうた』に収録されている、シュウイチ(CV:大原桃子)くんの「プレーンな毎日」という曲だったんですけど、実はお仕事するまで『みなみけ』を観たことがなかったんです。でも、いざ観始めたら面白すぎて! それまでの放送分、全部観ちゃってから曲を書きました(笑)。なのでたぶん、本当に視聴者としてキャラクターに感じた気持ちを、そのまま込められたような感じがします。

――それは以前おっしゃった、「お仕事前にアーティストさんの曲を聴いて、ファンのように好きになる」というお話に近いかもしれませんね。

山崎 たしかに。その他のキャラソンでも、書く前にその作品を読んでみたりして感情移入したりしているので、キャラクターへの気持ちは結構大事かもしれないです。

――それは『エロマンガ先生』の「夏色恋花火」のように、詞と曲まるごと手掛けられたときも同じでしたか?

山崎 あー! そうですね。でもこの曲は、「夏と花火を用いた、ちょっと切ない恋愛の曲」みたいに、結構テーマがはっきりしていた曲だったと思うんです。なのでもう、恋愛モードに入ったような感じで書いていた気がします。

――ストレートに好きって言える子じゃないですもんね。

山崎 そうなんですそうなんです。そういうところがいいですよね(笑)。

――そこはもしかしたら、少女漫画好きなところがちょっと。

山崎 たぶん(笑)。なので、客観的にキャラクターを見た部分もあるかもしれないですけど、どちらかというと感情移入に近いほうが大きかったかもしれません。

――その客観性と感情移入のバランスも、作品やキャラクターによってそれぞれ変わってくる。

山崎 そうなってきますね。例えばものすごくファンタジーなストーリーだと、気持ちの部分にはものすごく感情移入できても、そのもの自体は現実とはかけ離れている分ストーリーには冷静でいられるというか。なので、例えばものすごく好きなキャラが死んだときにはめちゃくちゃ悲しいけど、「どのぐらい悲しいか」という点に感情移入しながら冷静にそれを捉えられているような気がします。

――こういったキャラソンも含めて、楽曲提供されている分野が様々なので、切り替えなどが必要になるタイミングもあるのでは?

山崎 意識的に切り替えようとしていることはあまりないんですけど……でも締切が終わると、めちゃくちゃ掃除してるかもしれないです。もう、排水溝やら換気扇やら、何から何までものすごく磨いて(笑)。それは家事に追われているだけかもしれないですけど、その間に気軽に観られるアニメとかをラジオみたいに流しっぱなしにしていることが、もしかしたらリフレッシュになっているかもしれないです。最近では、『名探偵コナン』を1話から見返そうと思って流してたんですけど……。

――すごい(笑)。

山崎 流しながら家事やってたら数日で330話ぐらいまできちゃったので、この調子で追いつきたいと思ってるんですけど(笑)。

――倍速にしたりもせずに?

山崎 EDをたまに飛ばしたりはしますけど、基本的には流しっぱなしで掃除したりごはん作ったり。それが意外といいのかもしれないです。

――逆に締切前や作品に向かっている間は、小休憩や気分転換はあまり挟まずに集中していくタイプですか?

山崎 うーん……私、どちらかというと切り替えが下手なんですよね。だから「今リフレッシュして、2時間後から始めればいいじゃん」みたいなときも、ついずっと考えちゃっているようなことが多かったりして。「そんなに考える必要ない」というようなことでも無駄に考えちゃったりと、傍からは休憩しているように見える時間も常に悩んでいたりするんです(笑)。それに「プライベートと仕事をきっちり分けたい」みたいなことも特にないので、思いついたときにやるし、思いつかなかったらそのままぐだぐだしちゃうし……という感じかもしれません。

――では最後に、作家としての活動をされていくうえで、今後挑戦してみたいことや新しくやってみたいことなどをお教えください。

山崎 近い未来のお話をさせていただくと……私、今年で作家10年目に入ったので、それを機に1回自分のお尻を叩いて、ストイックに音楽に取り組む武者修行みたいな期間を設けられたらいいなぁ……と思っているんです。

――そう思われるきっかけみたいなものは、何かあったんですか?

山崎 結構「今はそんなにストイックにやれていないな」と感じていたし、「自分のこういうとこがだめだな」というものが年々積もってきていたような感覚もあるんですよ。なので、最近はもう少し「ちょっと、しんどいな」と思うぐらい自分を追い込んでみたい……みたいな気持ちがある気はします。

――それも、ジャンルも偏らせずにいろんなものを全部打ち返していって。

山崎 そうですね。やっぱり年数が経つと「これはちょっと自分に向いてないかな……」みたいにスルーしそうになるものも出てくるのかなと思うんですけど、逆にそれに挑戦してみることで何度でも帰れるといいますか。今は、初めてコンペを受けたときみたいな気持ちで音楽に取り組んでみたいな、という気持ちですね。

山崎寛子Profile

山崎寛子(やまさきひろこ)シンガーソングライターとしての持ち前のメロディーセンスと、言葉の選び方に定評があり、堀江由衣、喜多村英梨、小倉唯など多くの女性声優、アーティストの楽曲を手がける。近年では楽曲提供だけではなく、人気アプリゲーム『白猫プロジェクト』の楽曲では、歌唱・作詞・作曲・編曲の全てを担当し、透明感のある歌声も披露している。

インタビュアーProfile

須永兼次(すながけんじ)。群馬県出身。中学生の頃からアニメソングにハマり、会社員として働く傍らアニソンレビューブログを開設。2013年にフリーライターとして独立し、主に声優アーティストやアニソンシンガー関係のインタビューやレポート記事を手がける。
Twitter:@sunaken

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