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菊谷知樹パーソナル・インタビュー【第3回】歌モノ楽曲での転機・アレンジャーとしてのアーティストへの関わり

全4回に分けて掲載中の、弊社所属の菊谷知樹へのパーソナル・インタビュー。第3回となる今回は、歌モノ楽曲でのターニングポイントとなった楽曲や、sajiやアツミサオリさんといった菊谷がタッグを組むアーティストとの向き合い方を中心に語ってもらいました。

菊谷知樹 パーソナル・インタビュー【第3回】

――今回は、これまで手掛けられた歌モノ楽曲のなかでのターニングポイントについてのお話からお願いできますでしょうか。

菊谷 うーん……『ぱにぽにだっしゅ!』の「少女Q」かな? あれが、初めてアニメのOPになった曲だったんですよ。たしかあの曲は、「テクノポップの曲を……」みたいなオーダーだった覚えがあります。

――リリース当時(※2005年)でもすでに懐かしい、’80年代ぐらいのテクノのイメージがありました。

菊谷 そう、どうしてもそうなっちゃうんですよね。あの頃って松浦亜弥さんの「ね~え?」みたいな、小西康陽さんが編曲したような曲がよく参考曲で来るような時代だったし、そうこうしてるうちにCAPSULEも流行り出した……という流れだったので、そういうテクノポップというかエレクトロポップみたいなアニソンが多かった。そのなかで、本当にYMOみたいな感じの曲を出してみたら、そこがちょっと特殊だったのでたまたま採用されたのではないか……という話を当時聞いたことがあります(笑)。

――ただ、ご自身の作家としての歴史の中では大きな1ページではあると思います。ひとつ自信になったのでは?

菊谷 いや、自信はなかったですね(笑)。そのときはまだ無我夢中でやっていたので、「やってやったぞ!」みたいな気持ちはなかったんですよ。打ち込みサウンドも、カラオケのMIDIをちょっと作ったことがあったぐらいで、本格的にやり始めたのはその頃だったので。

――さて、近年ではsajiの楽曲に編曲として携わられている機会も多いと思います。ご自身もやられていたのもあって、バンドへの関わり方やアレンジ時に意識されることは、他の歌モノと少し違う点もありますか?

菊谷 違うと思います。バンドのサウンドがどのへんがいいのかなぁというのはやっぱり意識しますし、もちろんメンバーとのやり取りとのなかで制作していくので。だから、こっちから「どうでしょう?」みたいな提案はあるんですけど、「絶対これでしょう!」みたいに独りよがりには絶対ならないように……というか、まぁならないですよね。メンバーとやっているので。ディレクターさんも含めて、意見のキャッチボールを比較的密に取りながら、アレンジしていきます。

――それは、たとえばバンドサウンドのキャラクターソングを手掛けるときとも、アレンジの際に意識するポイントは違いますか?

菊谷 うーん……まぁキャラソンの場合は自由というか、「こういうバンド風にしたい」っていうものが決まればそれに向かって一直線という感じなんですけど、sajiみたいな実際のバンドだと、ちょっと繰り返しになりますけど、メンバーと打合せしながらなので。だから苦労もするし時間はかかりますし、できたものが自分の想定とは違うものになったりもするんですけど、それが「いいよね」っていうことが圧倒的に多いんです。だからそっちのほうが、結果的には面白かったっていうことは多いですよね。ひとりでやってないから。

――ご自身の想定の枠とはまた違う発想があるから、その枠外のものができることもあるけど、それがまた面白かったり。

菊谷 それがいいですよね。バンドの醍醐味っていうか。自分でやってたバンドも最高で7人いたんですけど、7人が7人勝手なこと言って(笑)。でも、最後に無理やりまとめると、「なんかいびつだけど、面白いよね」と思えるものになった経験はたくさんあるんですよ。もちろんダメになっちゃったこともあるんですけど、そういう作り方っていいですよね。

――歌モノだと、他にはアツミサオリさんともタッグを組まれる機会が多いと思うのですが、意識されるポイントはsajiとはまた変わってきますか?菊谷 アツミさんの場合はまたちょっと違っていて。付き合いも長いので、ちょっとライフワーク的になってきたというか……。2007年に「ほんとのこと」に参加させてもらったのが最初だったんですけど、あのときアツミさんはランティスのアーティストで僕はアレンジャーとして携わっていたので、当時はsajiと同じような関係性だったんです。でもここ5~6年は、もちろんアツミさんありきではあるんですけど、割とサウンド面では僕が中心になっていろいろなことを進めているといいますか。プロデュース・アレンジャー的な立場なんです。この間もバンドで楽曲制作したんですけど、サウンド面は自分でいろいろ考えて、バンドの人にやってもらうなかでいろいろ形が変わっていく……という感じなんです。

連続インタビューもいよいよラスト。第4回は、TVアニメの主題歌にまつわる制作の裏話や菊谷が今後挑戦したい音楽について話してもらっています。次回もどうぞ、お楽しみに!

菊谷知樹Profile

菊谷知樹(きくやともき)。1968年2月21日生まれ、東京都出身。1992年、「ムスタングA.K.A」でソニーレコードよりデビュー。解散後ギタリストとして、05年よりコンポーザーとして作曲・編曲を中心に活動中。近年はアニメの劇伴やCMなどのBGM作品にも定評がある。ギターサウンドからストリングス、ブラスサウンドをはじめ、自らマンドリン、ウクレレ、三線、鉄琴など幅広い楽器演奏もこなす。現在、OP主題歌を担当したアニメ「うらみちお兄さん」、劇伴を担当したアニメ「チート薬師のスローライフ」アニメ「女神寮の寮母くん。」が放送中。

関連ページ: 菊谷知樹(関連作品・実績等)

インタビュアーProfile

須永兼次(すながけんじ)。群馬県出身。中学生の頃からアニメソングにハマり、会社員として働く傍らアニソンレビューブログを開設。2013年にフリーライターとして独立し、主に声優アーティストやアニソンシンガー関係のインタビューやレポート記事を手がける。

・Twitter:@sunaken

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